ピカードのMHF日記

ピカードのMHF日記

ピカードによる、MHF(モンスターハンターフロンティアオンライン)の日記

岸辺露伴は動かない 〜狩猟広場〜

岸辺露伴は動かない 〜狩猟広場〜


ま……
知ってるヤツが
多かろーが少なかろうが
どうでもいいことだが



ぼくの名は岸辺露伴
マンガ家だ


以前「ピンクダークの少年」という作品をジャンプに連載していたこともある


おっと あの傑作を読んでないからって、編集部に電話するのはやめてくれ



先日、杜王町のとある海岸に密漁しにいったんだが…


そのことをネタにマンガを書こうと思ってね


早速、編集者と打ち合わせをしたんだ


これから ここに紹介するエピソードは
その編集者から教えてもらった『ある広場』で体験した奇妙な出来事だ





* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *



〜 杜王町…カフェ『ドゥ・マゴ』 〜



編集者「はい、それでは今度出す読み切り45ページの打ち合わせはおしまい!と。
    あ〜すみません店員さァん。ミネラルウォーターください。センツァ・ガスでねェン」


露伴「……………………………………」


編集者「いや〜〜〜〜さすが露伴先生。
    打ち合わせだってのにほぼ完璧なネームもってきちゃうんですからビックリですよぉぉ〜〜〜。
    ところで…」


編集者は身を乗り出して露伴に話しかける。


編集者「こんな話しってますゥ?
    『誰もたどり着けない広場』の話」


露伴「…?
   何だって?今なんて言った?
   『誰もたどり着けない』?
   それなのに広場ができてるってどういうことだい?」


編集者「いや、それがですねェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」



その時、店員がグラスを運んできた。



店員「ミネラルウォーターでございます」


編集者「あ、ありがとォン」


編集者はストローを使ってミネラルウォーターを飲んでいく。



チュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



露伴「……………………………………」


編集者「……………………………………」チュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜


露伴「……………………………………」


編集者「……………………………………」チュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


露伴「おい。
   おいおいおいおいおいおい。
   もったいぶらないで早く教えてくれよ」


編集者「あ。
    やっぱ気になりますゥ?この話」


露伴「気になるもならないも、まだ話し始めてもいないじゃあないか。
   もったいつけるなら、もうちょっと話が盛り上がってきたところで頼むよキミィ」


編集者「アハハハハハハハハハハハハこりゃ失礼。
    それで、ですね、露伴先生、こないだ『うちの編集部の泉』と、山奥のへんてこな村いったでしょ?
    普通はヘリでないといけないような…」


露伴「ああ。まあぼくたちは必死に山のぼっていったけどね」


編集者「うん。そこへは頑張れば行けた。だってそこにあるから。
    でもこれから話すのは、どうやったって行けない場所なんですよ不思議とォォォォ」


露伴「………何を言っているのかわからないんだが」


編集者「だからねェ…!
    そうだ、まず現物を見てくださいよ」


編集者は鞄からタブレット端末を出した。


編集者「ほら、このgoogleマップ見てください。
    この山間に…何かあるの見えるでしょ?
    この広場なんです」


露伴「ふむ…。見たところ、周りに道路も線路もないな…。
   でも、これならヘリとか、それこそ徒歩でいけるんじゃないかな。『気合い』と『根性』でさ」


編集者「それがですねェ…ヘリでそこに向かおうとすると、不思議とそこに近づくと広場が見えなくなるらしいんです。
    徒歩で行こうにもたどり着けなくて、散々迷ったあげく元の場所に戻ってしまう始末なんですゥゥ」


露伴「なんだい!それェ〜〜〜〜。
   そんなこと言ったって君」


露伴は手を伸ばし、タブレット端末を操作する。
地図に表示された広場をできるだけ拡大した。


露伴「ほら、見てみろよ。人が沢山いるぞ。
   それに、受付のようなカウンターの内側に…派手な色の人が入っているのも見える」


編集者「そうなんですよォ…そこに気づくなんてさっすが露伴先生!
    『行けるはずのない広場』なのに、何故か人がいるんですよォォォォおかしいですよねェェェェ」


露伴「そこに行こうとしても、見えなくなる?戻ってきてしまう?
   何かの勘違いじゃあないのか?
   これだけの人が沢山いるんだから……。



   む?」



編集者「?どうしました、先生?」


露伴「……なんだか、この広場にいる人間…普通の格好じゃあないな…」


編集者「ええ?どれどれ…」


露伴「なんというか…ゴテゴテした鎧の様なものを着ている…ぞ…。
   それにほら。コイツなんて大きな剣の様なものを背負ってる」


編集者「アァ本当だァ!
    なんでしょうねコレ。コスプレ〜〜〜?」


露伴「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい。
   ここにネコっぽいのが二足歩行で歩いてるぞっ!?
   しかも踊っているんじゃあないかコレッ!?」


編集者「たしかに…細かいけれどそうにも見えるッ!
    露伴先生ッ!これ、次回作のネタに使えるんじゃないですか?」


露伴「確かに…そして『奇妙』だ…。
   だが…マンガは『リアリティが命』だ…。こんなただの航空写真じゃあ『リアリティ』がない…。
   よし…」







数日後。
岸辺露伴は山道を歩いていた。
無論、「たどり着けない広場」へ向かうためだ。




露伴GPSだとここら辺のはずだが…あっ」


露伴が改めてGPSをのぞき込むと、エラー表示が出ている。


露伴「ドジャ〜〜〜〜〜ン…やっぱりそう来たか…。
   …恐らくあの広場は、『たどり着ける者とそうでない者がいる』と思われる…。
   まっ!ダメだった時は、途中まで来た駅の立ち食いソバでも食べて帰るか…。
   …それにしても、なんで駅の立ち食いソバ屋はあんなにおいしそうに見えるんだろうな…」


露伴が15分ほど草木をかき分け歩き続けると…不意に目の前が開けた。
風が音を立てて露伴を強くなでていく。





足下には石畳。
そして目の前にはアーチがかけられている。
その先には階段があり、ここからでは見えないがその奥もあるようだ。



露伴「見つけた…。
   ここが…『たどり着けない広場』…。ん…?アーチに何か書いてあるぞ…。
   『メゼポルタ広場』…?」


露伴は辺りを見回しながら、階段を登っていく。
階段を登り切ると、すぐ右手にカウンターがあり、そこに紫色の服を着た女性が立っていた。


露伴「……………………………………。
   あの〜。すみません。ちょっとお聞きしたいのですが」


紫の女性「岸辺露伴さん、こんにちは!」


露伴「え?はい、こんにちは…。
   ……………………………………。
   …………………って待てオイッ!
   あまりに自然で思わずスルーしかけたぞッ!
   なぜぼくの名前をしっている!?」


紫の女性「?」


露伴「『ヘブンズ・ドアー(天国への扉)』ーーーッ!」


露伴は瞬時に空中に自分のマンガのキャラクタを書く。
そのキャラクタがスタンドとなって発現し、紫の服を着た女性に突進し、手をかける。
その間、0.5秒にも満たない。



そして次の瞬間、紫の女性はグラリ…と力が抜けたように倒れ込む。
露伴は素早く女性を支え、地面に倒れないようにする。
同時に、女性の顔が本のようになり、ペラペラペラペラ…とページがめくれていく。



岸辺露伴スタンド使いである。
スタンドとは、一言で言えば、常人には見えない具現化した超能力のこと。
露伴のスタンドは「ヘブンズ・ドアー」。
連載していた漫画「ピンクダークの少年」のキャラクタを空中に描き、それを実体化させる。
実際の能力は、人や動物を本にしてしまうもの。
本には、その人や動物の記憶や意志が載っている。露伴が何かを書き込んで、その人や動物をコントロールすることもできる。



露伴「どれどれ…」


露伴は、女性の「本」を読み始めた。


露伴「ふむ。
   この女性の名前は『エフィー』というらしい…。
   外国人か?しかし、名字がない…妙だな。
   なになに…」








『ここはメゼポルタ広場。ハンター達が集まる場所』




『私はガイド娘A』




『私の仕事は、メゼポルタ広場に来るハンターに、広場の案内をすること』




『それと、毎日クエストを紹介すること』




『滅多に話しかけてくれないけれど、やりがいはある』




露伴「……………。
   オイオイオイ、なんだいこりゃあ。
   『ハンター』って何だ?『クエスト』ォ?
   それに、何故ぼくの名前がいきなりわかったのかまだわからない…。
   もうちょっと読んでみるか…」




『私は全てのハンターの名前を覚えている』



『ハンターはモンスターを狩猟して生活しているプレイヤー』



『クエストはハンターが受ける依頼。狩猟・運搬・納品などがある』



露伴「…何だって?こいつは何を言っている?
   『私は全てのハンターの名前を覚えている』…これが、ぼくの名前をいきなり言った理由だというのか?
   つまり、ぼくは『ハンター』とやらの仲間入りをしてしまったというわけか?


   気づかぬうちに、ぼくは、何かしらのスタンド攻撃でも受けているのかっ!?



   『敵』はどこにいる!?」


露伴は辺りを見回す。しかし、誰も見あたらない…。



露伴「ここは…この雰囲気はどこかで感じたことがある…杜王町で…。
   そう…あの『決して振り返ってはいけない路地裏』だ!
   『地図になかった曲がり角』だ!






   この場所自体がひょっとして…スタンドそのものなんじゃあないか…?



   ん…?」




露伴は、エフィーの本の中にひときわ目立つ記述を見つけた。



『立派なハンターになるまで、ここからは出られない
 絶対に出させない
 立派なハンターになれないのならば
 ここで ひ か ら び ろ』






露伴「なに…?」





ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …






露伴「やはり…既にぼくは、スタンド攻撃を受けている…。
   恐らくこの娘も…この広場も!スタンドの一部だ…。
   どうする…。




   と。





   まあ、とりあえずこの娘は本体じゃあなさそうだ…その記憶もないし。
   念のため『岸辺露伴に攻撃できない』と書き込んで…。
   あ、あと『スタンドを使われたことは忘れる』っと…よし!」




バァ――――z__________ン

露伴とエフィーが元通りに立っている)






エフィー「こんにちは岸辺露伴さん。
     メゼポルタ広場の案内をしますか?」



露伴「………ああ、頼むよ。
   そうだな…。


   (『ハンター』は『クエスト』を受ける者って、たしかこの娘の本に出てたな…。
    立派なハンターとやらになるには、『クエスト』をクリアすればいいのかな)


   『クエスト』ってのはどこで受けられる?」


エフィー「『クエスト』ですね?」


エフィーは不自然なほど引きつった笑顔でペラペラと説明を始めた。


エフィー「『クエスト』を受けたい場合は、この『メゼポルタ広場』をさらに奥へ進んでください。
     広場の中心に受け付けカウンターがありますから、そこにいるガイド娘達に話しかければ、
     受注できます」


露伴「なるほど、わかったよ。ありがとう」


露伴はエフィーと別れ、メゼポルタ広場を奥に進む。



「あの〜…」



突然、後ろから控えめな声がした。
露伴が振り返ると、果たしてそこにいたのは頭に草食動物のかぶり物をした人間だった。


露伴「うおっ!?
   び、ビックリさせるなよ…なんだいそのかぶり物は?」


かぶり物の男「あ、すみません…。このマスク、『ケルビフェイク』っていうんですけど…。
       あの、もしかして、マンガ家の岸辺露伴さん、ですよね…?」


露伴「ああ、そうだけど?(こいつもスタンドの一部か…?)」


かぶり物の男「わぁ!よかった!こんなところで会えるなんて!握手してください!」


露伴「ああ。握手くらいSPECIAL THANKSだ…。
   ケルビ?ってなんだ?」


かぶり物の男「草食動物ですよ。このかぶり物をすると、沢山スキルが付くんですよ」


露伴「スキル…?何を言っているのかわからないが…とりあえず周りに人もいないしな」


かぶり物の男「?」


露伴「おおっぴらに!『ヘブンズ・ドアー』ッ!」



ペラ…ペラペラ…


露伴「ふむ…。
   名前は『ピカード』か…。よほどケルビとやらが好きなようだな。面倒だ、『ケルビ』と呼んでやろう。
   こいつもスタンド使いではない…その記憶が一切ないな。
   うーむ…
   『気づいたらこの広場に来ていた』?
   『ここからなぜか出られない』?
   こいつも、ぼくと同じでこの広場に取り込まれたクチか…。
   ん?これは…?」







露伴「なんだこれ?
   こんなページは見たことがないが…。こいつのハンターとしてのプロフィールか…。
   色々わからない略語もあるが…まあいい。
   『岸辺露伴を攻撃できない』『スタンドを使われたことは忘れる』っと…」



ケルビ「…んんん?
    あれ?今私なにやっていたんだろ?」


露伴「なあ、ところで『クエスト』ってのを受けて、一人前のハンターとやらになりたいんだが…」


ケルビ「ああ、そうですか!それだったら向こうの受付で受注できますよ!ご案内します」


ケルビ頭に連れられて、露伴は広場中央のクエスト受付へきた。
広場中央まで来ると、多くのハンター達がたむろしていた。


露伴「(この受付…さっきのエフィーとか言う娘と似ている服を着ている…色は違うが。
    そして周りには色々な鎧や武器を身に纏ったハンター達が…。
    ああ…天国の扉を使いたいッ!こいつらの記憶を見てみたい…!
    だが、人が多くて目立ちすぎる…ここは我慢だな…)」


黒い受付嬢「ようこそ、露伴さん。クエストを受けたいの…?」


露伴「ああ。手頃なクエストはあるか?」


黒い受付嬢「それなら、このリオレウス捕獲のクエストがいい。
      250ゼニーかかるけど…」


露伴「?何だって?『ゼニー』?
   口ぶりからしてそれはここの通貨か?
   そんなもの持ってないぞ」


黒い受付嬢「なければクエストは受けられない…」


露伴「冗談じゃない。ここは日本だろォ?円で頼むよ円でさ〜〜。
   なんならクレジットカードもあるよ?
   オサイフケータイでもOKよ?」


ケルビ「あ〜、もしよかったら、私がゼニーお貸ししますよ?その代わり…。
    私もクエストにつれて行ってください!」


露伴「ふむ。クエストってのは複数人でもいけるのか…。
   (この黒い娘の話だと、何か生き物を捕獲するらしいな…。いきなり1人だと危険かもしれないしな。
    なによりゼニーを借りないと先に進めない)
   ああ、頼むよ。ぜひ貸してくれ」


ケルビ「やったァ!さすが露伴先生!そこに痺れる憧れるゥゥ!」


黒い受付嬢「では塔へ…向こうにあるクエスト出発口から行って」


ケルビ「よし、行きましょう露伴先生!」


露伴「あ、ああ…。(塔?)」


ケルビ頭に引っ張られて、広場の外れにあるクエスト出発口へと来た露伴
出発口の門の向こうには、何もない空間が広がっていた。


露伴「なんだこれ?どこかに繋がってるのか?」


ケルビ「さあ出発です!」


その時、露伴の頭の中に角笛のような音が響いた。
そして、目の前に広がっていたはずの広場の風景が一気に消え、気づくとまた新しい場所へ来ていた。



露伴「くっ…!?何だか頭がクラクラする…何かの攻撃を受けたのか!?」


ケルビ「ここが塔ですよ。さあ、行きましょう!」









露伴たちは開けた場所に着いた。目の前には巨大な塔がそびえ立っている。


露伴「ドジャァァァァァン!!こりゃすげえ!!
   世界中探したってこれだけスケールが大きいものはそうそうないぞッ!」


露伴は夢中になって塔をカメラで撮影している。


露伴「こりゃあいい!今後の作品にも活かせそうだッ!」パシャパシャ


ケルビ「露伴先生〜…写真撮るのはいいですが、制限時間もありますからね?
    もう少ししたら行きますよ?」



露伴が思う存分写真を撮ったり、石柱に触ったり、採取をしたりした後、いよいよ塔の内部へと入っていった。
そこでも興奮しながら撮影をする露伴


気がつけばかなり時間が経っていた。


そのまま奥に進むと、道は一旦屋外へと繋がっていた。そこには巨大な竜が待ち構えていた。


ケルビ「アレがリオレウスです!」


露伴「な…なんだあの化け物は…あんなのを捕獲しなきゃあいけないのか!?
   無理だろ、おいっ!」


ケルビ「大丈夫。
    攻撃をして、弱らせたところにシビレ罠を仕掛けて、この『捕獲用麻酔玉』をぶつければOKです!
    行きます!」


ケルビ頭の男は、背に吊った双剣を引き抜き、リオレウスに向かっていった。


露伴「ぼくのスタンドが、クレイジーダイヤモンドや、スタープラチナのようなパワー型だったならともかく…。
   ぼくの出番はなさそうだなぁ…ま、たのむよケルビ君」


ケルビ頭の男が、順調にリオレウスへ攻撃を重ねていく。
そしてついに、リオレウスが転倒した。


ケルビ「よし!そろそろ捕獲できます!シビレ罠を…」


転倒し、喘いでいるリオレウスの下に、ケルビ頭はシビレ罠を設置しようとした。
しかし、思いの外時間がかかってしまい、設置を終える前にリオレウスは起き上がってしまった。
移動するリオレウス。当然シビレ罠にはかかってくれない。


ケルビ「あ…まずい…どうしよう露伴先生」


露伴「どうした?」


ケルビ頭は、露伴を引っ張りリオレウスから距離をとった。岩陰に隠れて話を始める。



ケルビ「まずいです。シビレ罠にかかっていないと、捕獲できないんです」


露伴「なら、上手く誘導して、あのリオレウスとかいうヤツをシビレ罠にはめればいいじゃないか」


ケルビ「本来ならそうしたいところなんですけれど…。
    さっき露伴先生、塔の入り口とかで色々取材してましたよね?
    そのお陰で…もう残り時間が本当に無いんですよ」


露伴「残り時間が0になったらどうなる?」



ケルビ「クエスト失敗です。強制的にさっきのメゼポルタ広場に戻ります」


露伴「何だって?
   それじゃあ立派なハンターにもなれないじゃあないかっ!
   せっかくここまできたのにやり直しだなんて冗談じゃあないぞっ!!」


ケルビ「うーん、リオレウスがすぐにシビレ罠の上に行ってくれればいいんですが…そうもいかないだろうなぁ」


露伴「…とにかく、あのリオレウスがシビレ罠の上に立てばいいんだな?」


ケルビ「ええ、そうですが…何かいい方法あります?」


露伴「ああ…。ケルビ君。君は何でもいいから、リオレウスの動きを少しでも止めてくれないか。
   あとはぼくがなんとかしてヤツをシビレ罠の上に移動させる」


ケルビ「わかりました。この閃光玉で目くらましをさせます。
    一瞬怯みますが、その後は尻尾を振ることが多いので注意してください」


露伴「大丈夫。0.5秒も怯んでくれれば十分だ」


ケルビ「では行きます!」



ケルビ頭が閃光玉を握りしめて岩陰から出るのと、露伴リオレウスに向かって走っていくのは同時だった。
露伴の向かう先にはリオレウス。そしてまっすぐその向こう5mほどに、シビレ罠が設置されている。
露伴はそれを確認し、走るスピードを速めた。



リオレウスがこちらに気づき、2人をにらみつける。
次の瞬間、ケルビ頭がなげた閃光玉が破裂した。辺り一面に光が満ちあふれる。リオレウスは思わず怯んだ。
露伴はその瞬間を見逃さなかった。



露伴「『ヘブンズ・ドアー』(天国への扉)ァァァーーーーーッッ!!」


露伴の拳がリオレウスに向かって放たれる。その拳の先から露伴のスタンドが飛び出し、リオレウスの顔に突っ込んでいく。
そして、リオレウスの顔が本のページのようにペラペラと開かれた。


露伴「(じっくり記憶を読みたいところだが、その時間も恐らくないッ!)」


露伴は目にも止まらぬスピードで、リオレウスの本に文字を書き込む。







『そのまままっすぐ後方へ5m吹っ飛ぶ』







ドッギャアアア――――――z_________ン











リオレウスは後方5mに向かって吹っ飛び、丁度そこにあるシビレ罠に着地する。
うなり声を上げて、痺れ始めるリオレウス


露伴「今だ、ケルビ君!」


ケルビ「はい!」


ケルビ頭がすかさず、リオレウスに捕獲用麻酔玉を2個投げつける。



…これまでとは打って変わって、急に辺りが静かになる。
リオレウスは穏やかにその場に沈み込み、眠り始めた。




ケルビ「やった!!!
    どうやったかわかりませんでしたが…さすが露伴先生です!」


露伴「(ふう…モンスターにもぼくの天国の扉が通用してよかった…)
   これでクエストクリアか?」


ケルビ「はい!さあ、メゼポルタ広場に戻りましょう!」











〜 メゼポルタ広場 〜



ケルビ「お疲れ様でした〜」


露伴「ああ…お疲れ様。
   これで立派なハンターになって…この広場から出られるかな?」


「無理じゃ」


後ろから、しわがれた声がした。
振り向くと、そこにはとても小さな老人が座っていた。
キセルを吸い、しわくちゃの顔を動かして話し出す。


老人「お前さんはまだ立派なハンターではない」


露伴「なんだァじいさん?」


ケルビ「あ、ギルドマスターですよ。この広場の長みたいなものです」


露伴「じいさん、一体どういう事だ?」


ギルドマスター「お前さんはまだまだ駆け出しハンターじゃ。
        従って、この広場から出ることもできんワイ」


露伴「なんだいそりゃ…。
   ちゃんとクエストをクリアしたじゃあないか。
   一体どうしたら一人前になれるんだ」


ギルドマスター「そうじゃな…ハンターランク(HR)が300になったらまあ、
        一人前といえなくもないかな」


露伴「HRが300ゥゥ?ちなみに、ぼくは今いくつなんだ?その、HRとやらがさ」


ギルドマスター「お前さん、リオレウスへ行ってきたんだろ?HRは、22じゃな…」


露伴「!?
   お…おいおい…!?
   まだ22だって…?
   ちょっとまってくれよ…300まで上げるのにどれくらいかかるんだ…?
   日が暮れるどころか…何日もかかるんじゃあないのか!?」


ケルビ「まあ、しょうがないですよ」


露伴「ケルビくん。
   ……ん?」


ケルビ「?どうしました?」


露伴「(む…?何か違和感があるぞ…?
    そう…たしかぼくは、このケルビ頭の本を読んだ…その時に…。













    そうだ、こいつのHRはたしかっ…!)


    『ヘブンズ・ドアー』ッ!」




ケルビ頭が倒れ、ペラペラと顔が本になる。


露伴「確かお前のHRは999だったな…。
   それなのに『ここからなぜか出られない』だと?
   あまりにも不自然じゃあないかっ!ええ!?



   恐らく、コイツがこの広場のスタンドの本体…本人も気づかないうちに発動してしまったのだろう…。


   だったら…。




   『スタンド能力を止める』と書き込む!!」




書き込もうとしたその時。甲高い音と共に「ヘブンズ・ドアー」と露伴が強い力で弾かれた。




露伴「何ィイイィッッ!?
   こっこいつの能力…スタンドパワーというべきか…強い…!
   スタンドを打ち消すような命令は効かないのか…!








   ならば…!うまくいくかわからないが…!」












ズシャァァァ!露伴はスタンドのパワーを全開にして別の言葉を書き込む。















岸辺露伴をテリトリーから追い出す』











ズギュゥゥゥ――――――z_________ン













露伴「ハァッハァッッハァッハァッハァッ…!」




気がつくと露伴は、再び山間にいた。
遠くに、少し前にくぐったメゼポルタ広場のゲートが見える。





露伴「ハア、ハア…。どうやらうまくいったようだな…。



   (あそこには、きっと他にも色々なモンスターやクエストがあるのだろう…。
    そこにいる人間達も…恐らくあのケルビ頭のスタンド能力で発現したものだろうが…なかなか面白かった。
    もっと取材を続ければ、きっと魅力的なものに色々出会えただろう…)




    だが帰る」ドォォ――――――z_________ン








あのケルビ頭の男はどうなるか。
おそらく、あのまま自分自身のスタンド能力に取り込まれたまま、生きていくことになるだろう。
何だかかわいそうな気もするが…。
思い返してみれば、クエストの時彼はとても生き生きとしていた。(実際には見えないが)目も輝いていたに違いない。
ひょっとしたら、あのままが幸せなのかもしれないな…。













あァ、ちなみに帰りに食べた、駅の立ち食いソバは格別だった!「ンまァーーーーいっ」